センター現代文一問一答必修編

「はてな  宇平はやはり しかし歩いたって せんが、歩いていたっ 持ちがしてなりません。 」 神にも仏にも見放されたら、お前の いて待つ。神仏の加護があれば敵にはい 九郎右衛門は物 動ぜぬ男なのに、 これを聞い 宇平の態度は不思議 はわたしはもう今までしたようなことを 九郎右衛門の目は大きく開いて、 ら、もし出合ったら、ひどい目に逢わせてやります。だが捜すのも待つの えずにいます。わたしは晴れがましい敵討ちをしようとは思いませんから のですから もりです。 」 九郎右衛門が怒りは発するや否やたちまち解けて、宇平のこの詞を聞いている間に、いつも 宇平のこの  「ふん。そんなら敵討ちは罷めにするのか。 」 宇平は軽く 宇平の口角には

詞 ことば を、叔父は非常な注意の集中を 微 ほ ほ え 笑 んだ。おこったことのない叔父をおこらせたのに満足したらしい。 「 、 (注3) 見 み 識 しり 人 にん もいりません。文吉はこれからあなたの家来にしてお使い下さいまし。わたしは近

微 かす かな、 嘲 あざけ るような微笑が

打 ぶ っつからないかも知れ に (注1) 恬 てん 然 ぜん としていて、いつもの興奮の状態とは違っている。 閃 ひらめ いた。 「おじさん。あなたは神や仏が本当 罷 や めて、わたしの勝手にしようかと思っています。 」 眉 まゆ が高く挙がったが、見る見る蒼ざめた顔に血が

、 (注2) 助 すけ 太 だ 刀 ち もいりません。敵が知れれば知れる時知れる

升 のぼ って、

起 た てば歩いて捜す。病気になれば寝て

挙 こぶし が固く握られた。

奴 やつ ですか

神 かみ 仏 ほとけ だ。 」

拙 つたな くて、

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