センター現代文一問一答必修編

次の文章は、伊藤整の 倒を見てもらっていた。速 身 か ら だ 体 がぺたりと薄く見えた。私が来ないうち て来て、自分の眼が涙できらきらと光るの  「どう?」その眼の光るのを、楽しげな眼の表 けられて 誰 だれ もいなかった。それを彼女は当たり前のことのよう らと典子の心をかすめたきり、 気にならなかった。その たが、 「あ、どうでもいいことだわ」と、自分の心の散るの そうだ、今はもう、一生懸命にならなければならないのだ、と、 つの事だという風に速雄にむかっているのであった。 そのとき、 速雄は典子を見て笑った。歯が、 色の せ 唇から突き出るよ て済まない、と言っているように見えた。 典子はここへ入って来てから不安で仕方がないのだ。今にも吐きそうに 胸がむか ばならないことがあって、その内側からの圧迫に耐えられないというような気持ちなの ものを速雄が半分受け持 くれる、ということだった。だが弱々しくベッドに張りついた 第 22講 速雄は、一週間のうちに

制限時

眼 め に見えて

典 のり 子 こ の生きかた』の一節で 5 分

痩 や せていた。高い鼻の両隅が

怖 おそ れるようにひきしめて、速雄の変わった

窪 くぼ んで、黒ずんでいる。寝台に張りつ

実施日:

容 よう 貌 ぼう を見つめていた。

芯 しん のあたりからこみ上げ

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