センター現代文一問一答必修編

第 23 講 小説

かで、理事 た彼が案内役と  「木が沢山あります  「子供の時のぼった木で しかし理事長は気さくに微笑 理事長は今度は連れの事務長と を下げた。 不動産屋から例の健保組合が土地を買い 父は、 「そうか、 すぐ帰る」と言った。その かり周章していたのである。 彼と父は弟を呼んで相談した。彼も父も世間知らずで 見当もつ なかった。ゴム会社に勤めていた弟は、この点 かの大銀行に預金を持つ確実な資産の団体であることを調べて は高過ぎるからと不動産屋と渡り合い二パーセントにまけさせてし 売買契約、 父も同じであったろう。忙しく過しているあ だに引越しの日がいつのまに 最後の焚火を燃やすことに父は夢中になり、あたりが 配して戻ってき、 あちらに夕食の仕度ができているという母の言葉を伝え もう もう少 でおわるから先に食事をしていて れと言った。塵芥を燃や おえると二人は 手を出した。一種狂暴な衝動が彼におこってきた。どうせ他人に壊されるなら障子や

内 うち 入 いれ 金 きん の受渡し、移転登記など、事が始まると事務的な操作があれこれと進み

爺 じい さんが名刺

夕 ゆう 闇 やみ に包まれてもやめようとしなかった。新居の片付けを終えた妻が心

筈 はず であった。期待に答えて弟は相手の組合がいくつ

白 し ら が 毛 の目立つ母

襖 ふすま や、家の中の燃えるものはみな燃やして

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