センター現代文一問一答必修編

徐々に自 程は、 「書く てはまる。すなわ 存するようになったの ひとつのまとまりのある音 作品を実現することは不可能で 音楽に広く行き渡っている作品概念 さて、よく言われるように、紙に記され 存在論的な視点から考えれば、この指摘は 譜という形においてでしかない。作曲家は、自 奏曲の場合ならまだしも、合奏曲であれば、複数の 者によって演奏されて、音楽としての実体を得る。言い むしろ、その音楽作品の「 を実現する。したがって、ある作品は、様々な演奏家によって色 れも同じひとつの「テクスト」に基づいてなされたものであるが故に 定さ る――べートーヴェンが作曲した「運命」交響曲は、 ヴェンという作曲家の「運命」交響曲という作品なのである。 今ここで述べてきたような、音楽の筆記的特性とでも呼び得る性質は、今世紀の前 はなく、一層推し進められていった。作曲技法における筆記性が強まるだけでなく、同 ど残されていないような「テクスト」が書かれる傾向が促進され、音楽における「テクスト

テ (注5) クスト」なのであって、演奏者は、その「テクスト」を解釈

直 じか に音響として人々に提示することはできないの

フ (注6) ルトヴェングラーが演奏しても

ブ (注7) ーレーズが演奏しても、べートー

76

Made with FlippingBook - Online catalogs