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しく弾き給 りなるに、琴心
はせ」と北の方宣へ
といとまのあるままに
れば、 いとをかしげにひね
「いとよかめり。ことなるかほ
は、ものまめやかに習ひたるぞよき
二人の婿の装束、いささか ひまなく
きあひ縫はせ給へば しばしこそ物いそがし
かりしか、夜も寝もねず縫はす。いささかお
そき時は、 「かばかりの事をだにものうげに
し給ふは、なにを役にせむとならむ」とせめ
給へば、うち嘆きて、 「いかでなほ消えうせ
ぬるわざもがな」となげく。
習ったので
北の方は
「大変結構 よ
に何かを っておく
束を、すこしの暇もな
らくの間はなにかと忙しかっ
る。わずかでも遅れると、 「この
なさ とは、何を自分の仕事に よう
北
の方が
責めなさるので、
姫君は
嘆いて、 「なんとかしてやはり
死んでしまう方法があればなあ」と嘆く。




