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家出でて なりて行けばか

二筋に落つる涙も

にけるかも

その琴は、むかし行平の

須磨におはせし時、庇の杉を風

たるが、その形面白かりければ、く

なる元結を一筋ひきかけて、調べ給へる

はじまりて、今も伝はれるなりとぞ。

家出でて…

防人となっ

家を出て行

帰る家が

あれば

行く甲斐もある

けるのだから何の甲

二筋に…=

悲しみゆえ両目から

ふた筋に落ちる涙が、ひ

と筋の

弦を張った

小さな琴にかかったこ よ。

その琴は、昔在原行平中納言が

らっしゃった時 庇の杉を風が吹き落

かったので、くしげの箱に入っていた元結

て、奏でなさったことから伝え始まって、今も

だということである。