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むことを、 ほどにもなりぬ
式部大輔なる参議
を、大使にてつかはさ
世の博士 ・ 道々の人の集ま
いとどしういどみならはすに、
ていたらぬ所なくかしこければ、帝
きものにおぼしめして、春、正下の加階
ふ。
今はと出で立ちて京を出づるに、たかきい
やしき馬のはなむけす。夜すがら文つくりあ
かして、出でなむとするに、いみじうしのび
てたまへる 神奈備の皇女、
もろこしの千重の波間にたぐへやる心も
ともにたちかへりみよ
今はと参りたまひ ち、ひ 言葉 御な
さけもなかりつるを心憂 と思ふに、 ほ折
過ぐ ずのたまへるを見るに、血の涙をなが
てすっぱり
うれしいけれど
神奈備の皇女の
こ
れから先のご様子さ
辛く思ううちに、月日は
式部大輔である参議安倍の
遣わされる予定なので、次々と世
が集まって、
渡唐予定者の
才能を試したり、一段と競争させ、
勉強させるのだが、この弁の少将は万事に
ので、帝もすばらしい人物だとお思いになり、
五位下の位をお与えになる。
いよいよ出発ということで都を離れるときに 身分
問わず人々が集まって送別の宴を催す。一晩中詩を詠み明か
て、 いざ出発しようというときに、 たいそう人目をお避けになっ
て神奈備の皇女が贈られた歌は、
もろこしの…=千重の波間を隔てた唐土にまでも、私 心
をあなた(=
弁の君
)に添ってついて行かせますから、どう
かその私の心と一緒に無事帰国して、また私と会ってくださ
い。




