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ことのある ずらむとて、

このことを聞か

これはいみじく愚か

人の習ひなれば、腹黒

からぬほどにはからふべき

すべて、人の腹立ちたる時、

こは

く制すれば

いよいよ怒る。さかりなる火に少水

むは、その益なかるべし。しかれば

機嫌を

はばかつて、やはらかにいさむべし

。君もし

愚かなりとも、賢臣あひ助けば、その国乱る

べからず。親もしおごれりとも、孝子つつし

んで随はば、その家全くある し。重き物な

れども、船に乗せつれば、沈まざるがごとし。

上下はかはれども、ほどほどにつけて、

頼め

らむ人のためには、ゆめゆめうしろめたなく、

腹黒き心のあるまじきなり

かげ

にては、また

みゃうが

を思ふべきゆゑなり。

せないよう

であるけれど、

また嫌に思ったりし

る。

大体、人が腹を立てている

る。燃え盛っている火に少しの水

違いない。だから、

相手の

良い時機や状況を考慮して、穏やかに

戒めるのがよい。主君がもし

道理に暗く

愚かであっても、賢臣た

ちが共に助けるならば、その国は乱れるはずが

い上がって

わがままに振る舞って

、孝行心のある子が慎重に従

えば、その家は無事であるに違いない。重い物だけれど

乗せてしまえば、沈まないのと同じである。

身分の

上下は変わっ

ても、それぞれの立場にふさわしく、頼みに思っているような人

のためには、決して

どう思われるかという

気がかりや、意地悪い

心があってはならないのである。その裏では、また神仏が人知れ

ず与えるご加護を期待できるからである。