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れば、 「此 れば、 院「融の

「然に候ふ」と申す

問はせ給へば、 「家に

くおはしませば、かたじけ

ひ給ふるなり。いかが仕るべき

院「それはいと異様のことなり。わ

家をやは押取りて居たる。大臣の子孫の

せたればこそ住め。者の霊なりといへども、

ことのことわりをも知らず、いかでかくはい

ふぞ」 高やかに仰せ給ひければ、霊かき消

つ様に失せにけり。その後また現 るること

なかりけり。

います」と ると

融の大臣の霊が

「わが家ですか

院が

このようにいらっし

ております。 かがいた

げるので、院は「それはまこ

家を押し取ったものではないぞ。

おまえ

(=大臣)の子孫が献

上したからこそ住んでいるのだ。

融の大臣の

霊とは言えども、

事の道理を知らずに、どうしてそのような

大声で一喝なさったところ 霊 かき消 よう

た。その後は二度と現れ とはなかった。