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まことに宜しき歌

すべきやらむ。

まことに歌の中道はただ

侍り。さらに人のこれこそと申

らず候ふ。家々に伝へたるすぢ、秀

ちまちなり。俊恵は、 「ただ歌は幼かれ

申して、やがて我が歌にもその姿の歌を秀逸

とは思ひたり気に候ひけるとか 。俊頼は、

えもいはず長高きを宜しと申しためり。その

外品々に申しかへてぞ侍る。更に短慮及び難

くぞおぼえ侍る。何も知れば強ち大事になり

侍る習ひなれども、殊にこの道はさとおぼえ

て侍り。我が心の中にて歌の昔今を思ひ合は

せてみるに、古よりも当時 殊の外によむ歌

毎にわろくのみおぼえて、それかと思ひて出

だすは稀にぞ侍る。仰げばいよいよ高き事に

本当によい和歌の

きなのでしょうか。

本当に和歌の道における正

です。決して他の人がこれこそと

です。

歌道の

家々に伝えている言い伝え、秀逸の和

いての理解は、 まちまちです。俊恵は、

と申して、そのまま自分の和歌についても の

の和歌を秀逸だと思っていたふしがありましたとか

す。俊頼は、何ともいえず格調の高い をよ と申して

うです。そのほかの歌人たちはいろいろに違うことを て

ます。

こういろいろな意見があると

、とうてい至らない考えの

者が、どれが正しいなどとは思いつくことはできないことだと

感じられます。何事も

その道を

知るとむやみにそれが大事に思

われるのが習いですが、ことにこの

和歌の

道はそのようだと思

われます。私の心の中で、 和歌の昔と今とを思い比べてみると、

昔よりも現代は詠む歌はど も格別によくなく思われるばかり

第6講『毎月