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なれと、召 にて濡れて苦し

らはせ給へる雛屋の

こひなくめづらかなり

せて据ゑ給ひつつ、藤壺に

「思ひかけず人の賜びて侍るを

き御方もやとてなん。上の見参にも

させ給へ」と、 「大納言の君」と上書き

して奉り給ふ。物の端に、

松虫の千年の例しあらはれて玉の台

の家居をぞする

上もこの御方にて、 もて興ぜさせ給ふに、

中納言の乳母、 「これは、野分の朝願は

せ給ひしも になん侍る。 『世の中あら

はに侍りしに、二宮の御簾をもたげさせ

給ひし 、つくづくと見入れて立ち給へ

りし』と、後に人の申し侍りしは、まこ

とな けり」と聞こゆるを、上、いとも

大将は、

姫宮の

面影が忘れ

い細工をする職

細工師を

何人も呼び集め

なさったが、虫も人

に作らせなさった人形の

く深くめったにないほどすば

ん職人に作らせては人形の家にお

大将は

藤壺女御に

差し上げなさる。 「思いがけずある人

げるのにふさわしいお方もいらっしゃ か

お持ちしました。帝のお目にもかけて下さい」

大将は

おっしゃっ

て、 「大納言の君」と表に書いて差し上げなさ 。

大将

が歌を書き添えた、

松虫の…=千年も栄える松の名を持つ証拠を示して、松虫

華な建物に住んでいます。

それにもまして華やかな宮中に住まう

姫宮が栄えますように。

帝もこの藤壺で、

大将が差し上げた人形の家を

おもしろがって見

ていらっしゃると、中納言の乳母が、 「これは、嵐の吹いた翌朝、

姫宮が

欲しがりなさったものでございます。 『

風のために

あたりが

丸見えでございま た で 二宮が御簾を持ち上げさせなさいまし