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も類なき御 ますめれ。よろ
御心も、ただ今はい
心騒ぎして、おどろか
空にもの憂く浮きたつ心は
などを朝夕見奉らんには慰めな
さりとて当時、世の常に思ひ寄るべ
年のほどならねど ただ ぼり奉らまほ
しきに、 「あはれ、雛屋に虫のゐよかし。
一つにあらば、いかに嬉しからん」との
たまへば、二宮、 あらわろや。苔や露
も入れさせ給はば、雛のため、いかにう
つくしからん」と笑ひ聞こえ給へば、げ
にと思したるさまにて、まめだち給へる
御まみのわたり、 見る我もうち笑まれて、
幾千代 ぼるとも飽く世あるまじきに、
おとなしき人参りて引き直しつれば、口
惜しうて歩み過ぎ給ふ。
る
大将の
お心も、こ
はいられず、
姫宮の美しさに
はっとなさらず
もぼんやりとしてい
自分(大将)
の心は、この
姫宮の
ご様子などを朝夕にお見
きっと慰むだろうよ、そうだ
姫宮は
、普通に思
いを寄せることのできるお年頃で
大将は姫宮を
ただ
ひたすらお見つめ申し上げたく思って
姫宮は
「ああ、お人
形の家に秋の虫がいてほしいの。
人形と秋の虫とが
一緒にいれば、
どんなに嬉し でしょう」とおっしゃる。する
それではまだよくありませんよ。苔や露も 入れに
にとって、どんなに可愛いでしょう」とお笑い申し上げ
ころ、
姫宮は
なるほどとお思いになっている様子で、真面目な顔を
なさっている
姫宮の
お目もとのあたりは、それを見ている
大将も
つ
い笑みが ぼれて、何千年見つめても飽 ることがなさそうである
が、
そこへ年配の女房が
参上して、御簾を元のように引き下ろして
しまったので、
大将は
残念に思って通り過ぎなさる。
その時大将が
詠んだ歌は
宮城野に…=宮城野にあるまだ若々しい女郎花を移し植えて我




