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と。そこは しき事は侍らね
のむつかしきを」
とこたへ給ふに、父の
「まことにかの人を見れば
命も延びぬべきさまし給へる人
かしこく思しよりたり。われ迎へた
らん」
とて、花盛りいとおもしろきに、かかやくば
かりしつつ、中納言のおはするかうそうに
まうで給へり。 「国にとりては一の大臣にて、
さばかり世の中をわがままになびかし、やん
ごとなげなる人 、 いかで物し給ふにか」と、
おどろきかしこま 給ふに、
「さるべき人々、案内申し侍る事侍るなれ
ど、聞き入れさせ給はざんなりとうけたま
はるを おのれがあやしのいほりに、この
ごろ花おもしろく侍るを、御覧ぜさせに、
「日本の
す。それによっ
ということもなく、
気が晴れ晴れしなくて気
と答えなさるので、父の大臣
「ほんとうにあの人(=中納言
命も延びて長生きができるようなあり
人であることだ。
中納言を好きになるとは、あなたは
たいそう
すばらしくお思いになったことだ。わたしが
中納言を
お迎え申
しあげよう」
と言って、花の盛りがたいそう趣深いころに 行列など
きら光るほどにしながら、中納言のいらっしゃる御殿に参上
さった。 「
父の大臣は
国にとっては一の大臣であって、あれほ
ど世の中を自分の思いどおりに従わせ、高貴に見える
一の大臣
のような
人が、 いったいどうしてこんな所へおいでなさるのか」
と、
中納言が
驚きあきれ恐縮しなさると、
「
大臣公卿といった
相当な身分の人が、
あなた(=中納言)
に対して『
おいでくださるまいか
』と内意を伺い申し上げます




