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る」と詠め
、はやくの
とさへ思ひ出で
だりがはしう繁りあ
ゑたる桜の木ども、か
に残れるが、折知り顔に色
花も
てはやす人もなかめ を、誰見
ふに
、おもほえずうち嘆かれぬ。此花の
もはそのかみ母屋に向かひたれば、親は
ら打ちつどひ春毎に、盃と つつ打ち興じも
てはやしつるを、今は其世の人独りだに残ら
ず、ただ我のみたちおくれて、昔の春 夢語
りを、さらに語らふ友もなし。
こととはぬ花とはおもへどいにしへをと
はまくほしき庭ざくら哉
奥の方は少 くだりて、片山かけたる坂を
ゆくに、父君の
愛
め
でて植ゑつると聞きおきた
る、梅の木どもの大きなる かたへは朽ちな
どしつれど、若葉の色いと
清
き よ げ
気
にて、
花の盛
であって、
われた木々が乱
の木々が、一部は枯
いかにもその
時節が来たことを知って
ど、
美しく咲いている
花を賞美する人もいないよう
いっ
たい誰に見てほしいと思って桜の
のだろうか
と思うと、思いがけなくつい嘆いてし
の木々はその昔、母屋に向き合っていたの
まって春が来るごとに、手に杯を持っ は面白
ものなのに、今はその頃の人が一人さえ残っておら
けが死に遅れていて、昔 春のようにはかない物語を、
友もまったくいない。
こととはぬ…=ものを言わな 花だとは思っているけれど、
昔、
親兄弟がみんな集まって、毎年春に飲みながら花見に興じた
通りに咲いているのを見ると、昔のことを
尋ねてみたいと思う庭
の桜であるよ。
奥の方は少し下りになっていて、山の片側にかかっている坂を
行くと、父君が賞美して植えたと聞いて覚えていた 梅 木々で




